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連載コラム2017.02.08

連載コラム Vol.13 – ロンドン高架下にマーケットが続出

佐藤丈春佐藤丈春

先日一時帰国していた際に、東京・中目黒の高架下が盛り上がっているのを確認しましたが、僕がベースを置くロンドンでも、着々と高架下でのマーケットが盛り上がりを見せています。具体的にはロンドン・ブリッジ駅から南東部、それから北西部に伸びていく電車の高架下沿いに、それぞれ数kmの範囲に渡って色々な店が入り、全体としてマーケットを形成しているという形態です。パン屋、野菜屋、肉屋、乳製品、クラフトビールの店などが週末限定で一斉にオープンし、これらの業者から直接買い物ができるためにお手頃な値段で高品質な品物が手に入ります。今回はその中でも南東部は「スパ・テルミナス」、北西部はレストランとアンティーク・マーケットの集合体「フラット・アイロン・スクエア」をご紹介します。

スパ・テルミナス入り口にある、店舗の名前を示す看板
スパ・テルミナス入り口にある、店舗の名前を示す看板
こちらはフラット・アイロン・スクエアに隣接するアンティークマーケット
こちらはフラット・アイロン・スクエアに隣接するアンティークマーケット

前者は、平日はそれぞれの店舗が閉まっていますが、中で製造したり、業者に販売したり、事務作業をしたりしています。土曜日限定、朝から午後2時まで一般に開放され、我々が買い物をできます。ここが話題になったのは5〜6年前。こちらで人気の「マンモス・コーヒー」や日本でもスキンケア製品で知られる「ニールズ・ヤード」の乳製品店「ニールズ・ヤード・デーリー」が、ロンドン・ブリッジ駅前に何世紀も前からある「ボロー・マーケット」で以前から営業していたのですが、そこがあまりに観光地化してしまったことから、店舗の増設を決定し、地元住民くらいしか来ないような、地下鉄で一駅離れたスパ・テルミナスに小さな店を構えたことがきっかけです。この小さな区画にはその他、ロンドンでのクラフトビールの先駆けの一つ「カーネル」や絶滅が危惧される蜂を助けるためにもスタートした「ロンドン・ハニー&コー」など蜂蜜製品なども製造所兼店舗を構えています。これら全体は地元議会と鉄道会社の協力により、古くなって誰も来ないような場所に活気を起こそうということで始まったプロジェクトです。

ロンドンにおけるクラフトビールの先駆けの一つ「カーネル」の工房兼ショップ
ロンドンにおけるクラフトビールの先駆けの一つ「カーネル」の工房兼ショップ
ニールズ・ヤード・デーリーのチーズの数々。イギリス全土の農家から新鮮な製品を仕入れている
ニールズ・ヤード・デーリーのチーズの数々。イギリス全土の農家から新鮮な製品を仕入れている
マンモス・コーヒーも土曜日限定で高架下にショップを開いている
マンモス・コーヒーも土曜日限定で高架下にショップを開いている

後者のフラット・アイロン・スクエアですが、ここは平日も営業しており、前者のフードマーケットというよりは規模の小さなストリートフードの屋台やバーが集まっており、トルコ、ポルトガルや東南アジア料理などを楽しむことができます。隣にはアンティーク・マーケットがあり、19世紀の版画、ヴィンテージの服や家具などが手に入ります。「テート・モダン」美術館から目と鼻の先にある、忘れ去られた高架下に今は活気が溢れています。

とある家族経営の野菜屋にて先日入荷したイタリア産の赤オレンジ。春が近いことの証
とある家族経営の野菜屋にて先日入荷したイタリア産の赤オレンジ。春が近いことの証
このように高架下沿いにずらっと、イタリア食材、肉やビールの店が軒を連ねる
このように高架下沿いにずらっと、イタリア食材、肉やビールの店が軒を連ねる

ロンドンで週末を過ごせる場合には、この高架下沿いをぶらりとしてみるのが、新しい楽しみ方です!

佐藤丈春(さとう・たけはる)
1976年東京生まれ。2005年に渡英、2007年に英国王立芸術院卒業。グローバル情報誌『モノクル』に創刊から関わり、ファッションディレクターとして7年間努めた後、2014年独立。現在は英国・欧州ファッションブランドの広告・カタログのスタイリングやアートディレクションを中心に活動する。

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