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連載コラム2018.01.25

連載コラム Vol.19 –「アートと食」で結びつく、意外な江ノ島

佐藤丈春佐藤丈春

皆様、お久しぶりです。先日、19世紀に活躍したフランス人画家に、僕の実家近くにある「江ノ島」について教わるという、不思議な体験をしました。なんだか神がかった表現かもしれませんが、その理由を下記に記したいと思います。

昨年末に、東京都美術館で開催していた『ゴッホ展 巡りゆく日本の夢』に行ったことがきっかけでした。ゴッホが浮世絵に多大な影響を受けていたことから、展示品の約半分が浮世絵などゴッホがインスパイアされた作品、もう約半分がゴッホ自身の絵画で、浮世絵の構図が見受けられるものでした。
葛飾北斎、歌川広重などの版画とゴッホの作品が一度に見られてそれらの比較をする、素晴らしいキュレーションだなぁと感心しながら館内を歩き回り、終わりに近づいたその時!目が合ったのです。
19世紀のフランス人画家、ルイ・デュムーラン作「Chaya – Enoshima」。

ルイ・デュムーラン作《茶屋(江ノ島)》。1888年または1895年頃の作品。油彩、板。21.2cm×50cmと決して大きいサイズではない(個人蔵)。

見た瞬間に「美しい!」と思い、その大きくはないフレームに引き込まれて行きました。解説文を読むと、デュムーランが訪れた1880年代の江ノ島にあった茶屋の風景で、構図から推測するに現存する「魚見亭」ではないか、と。
ゴッホは日本に夢中になりながらも、悲しくも生涯日本の土を踏むことはありませんでした。従って、例えばデュムーランなど日本を訪れた人に積極的に体験談を聞くべく、生活拠点であったフランスでコンタクトしていたそうです。それが理由でこのゴッホ展に「Chaya – Enoshima」が展示され、僕はそれに夢中になりました。

翌日晴天に恵まれたため、すかさず僕は「魚見亭」を目指し、自転車を走らせます(江ノ島までは実家から20分程度)。10代を湘南で過ごしていながら「魚見亭」については、デュムーランの絵画を見るまで、知りませんでした。江ノ島は勾配があって、「魚見亭」は島の入り口から奥の方にあるため、登り下りをある程度繰り返して、やっとたどり着きます(結構な運動量ですのでスニーカーやトレッキングブーツ着用がオススメ)。江ノ島には何度も訪れたことがありながら、あまり奥まで入ったことがなかったので、新鮮でした。

現在の「魚見亭」の内装。左手奥が入り口、右手にテラスがあって、海を一望できる。

「魚見亭」に入るとそこは昭和の大衆食堂といった趣。140年の歴史があるこの場所は、オープン当初は茶屋だったようなので、デュムーランが訪れたであろう当時、開店したばかりだったはずです。
「魚見亭」のテラス席で、デュムーランが取ったであろう構図を真似て携帯でパシャリ。結果は、ほど遠いものに汗。

ランチ・テーブルの真下に展開する、この絶景。テラス席がオススメです。

見晴らしの良いテラス席で日光を燦々と浴びて、湘南名物「しらす丼とカニ汁」のセット・ランチを堪能しながら、ゴッホがもし日本に来ていたらどんな作品を残していたか、デュムーランはここで何を味わったのか、など思いを馳せ、地元の名店に関して間接的にも教えてくれたデュムーラン、そして素晴らしい作品を残してくれたゴッホにも感謝していたのでした。

名物「しらす丼とカニ汁」のランチセット。目の前の海から獲れているから、全てが新鮮。

魚見亭の近所で発見したカフェ「㠀舎」。90年前に建てられた物件を改装して、つい最近オープン。

㠀舎にて頂いた、手作りの「ゆずチーズケーキ」とコーヒーのセット。ランチメニューも充実している。


「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」は現在、京都国立近代美術館で、3月4日(日)まで開催中!
http://gogh-japan.jp/access/kyoto.html

佐藤丈春(さとう・たけはる)
1976年東京生まれ。2005年に渡英、2007年に英国王立芸術院卒業。グローバル情報誌『モノクル』に創刊から関わり、ファッションディレクターとして7年間努めた後、2014年独立。現在は英国・欧州ファッションブランドの広告・カタログのスタイリングやアートディレクションを中心に活動する。

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