連載コラム2017.09.27

世界屈指のグルメタウン、サン・セバスティアン

佐藤丈春佐藤丈春

夏休みをスペインのサン・セバスティアンで過ごしました。この街は「バスク地方」にあって大西洋に面しており、フランスとの国境約20km手前にあります。ちなみに国境を渡るとすぐにある街がビアリッツというリゾート地(ここもバスク地方)。そのさらに先にはワインで有名なボルドー。同じスペインでも反対の地中海側(バルセロナのある方)とは異なる気候で、地中海側では8月は30度を超えることが多く、湿気も多いのに対して、大西洋側のサン・セバスティアンでは最高26−7度、湿気もあまり感じず過ごしやすかったです。大西洋であるがゆえに獲れる魚も地中海とは異なり、独特の食文化を持っています。公用語はスペイン語ですが、英語、フランス語も通じます。そして街のいたるところにはバスク語の地名や商品名を見かけます。その代表格が「Pintxos」。「発音しづらいところにエックスが。。。なんて読むんだろう?」と思いますよね。「ピンチョス」と読みます。日本ではタパスの方がより有名かと思いますが、ピンチョスはこの地方で発明された、タパスに似たスタイルです。

35年間家族経営を続ける小さな「バー・デシイ」にてピンチョスのオンパレード

タパスとの大きな違いは、生ハムや地魚、野菜がそれぞれ、主にパンと一緒に串刺しで出てくることです。食材やビール、ワインは全て地産ですから、新鮮で美味しさ抜群、そしてランチは2名でワイン一杯ずつ頼んでお腹いっぱい食べても15ユーロ程度(つまり一人7ユーロ50ペンス程度)で済んでしまいますから、お得ですよ。

地元のベリー果実で出来た食後酒「パチャラン」に病みつきになってしまった。

この街のPRポイントは住民一人あたりのミシュランスター・レストランの数が世界一、とのことですが、街全体で食のレベルが非常に高いので、行き当たりばったりでバルやレストランに入っても、美味しい経験しかしませんでした。

エルカーノの内装。オリジナルの小さなバルは1964年にオープン、こちらのレストランは25年前に開店。

「食」のハイライトは「エルカーノ」。サン・セバスティアンから車で西へ30分程度のゲタリアという、港に面した別の地域にあります。元は1964年、エルカーノという小さな通りにオープンしたピンチョス・バルが近所に本格的なレストランをオープン。クラシックな内装、食に関する知識を持ったスタッフによるきめ細やかで熱意のあるサービス、スターターからメイン、そしてデザートに至るまでの流れがアートのようでした。

エルカーノにて。「ココチャ」という、こちらはタラの顎肉。左から順に食べるように言わた。左がさっぱりした味付け、中央がほぼ味付けなし、最後の右が濃いめ。
人気店の一つ「ガンバーラ」にて。近海で獲れる白マグロのカルパッチョは思い出の品。口の中でとろける。
新しく出来たワインバー「エッセンシア」にてボッタルガ(タラのカラスミ)に舌鼓。

「滞在」のハイライトは「ヴィラ・ソーロ」。19世紀、とある貴族が自分の娘の結婚祝いに建てたヴィラで、サン・セバスティアンの歴史保存建築物に指定され、現在はホテルとして機能しています。スタッフには色々と親切にしてもらいましたし「0 km」圏内から食材を手配して作られた朝食も最高でした。

ホテル「ヴィラ・ソーロ」の外観。英国式建築様式を取り入れ、レンガ造りになっている

サン・セバスティアンの魅力は他にもあります。都市でありながら、高い透明度の川が真ん中を流れ、水質の良い海に面したビーチがあり、街中には自転車専用レーンも整備されています。警察は常に交通に目を光らせ、海のライフガードもきめ細かいパトロールをしており、治安が良いと感じました。避暑地としてはもちろん、老後を過ごすにも最適な街の一つである、と確信しています。

佐藤丈春(さとう・たけはる)
1976年東京生まれ。2005年に渡英、2007年に英国王立芸術院卒業。グローバル情報誌『モノクル』に創刊から関わり、ファッションディレクターとして7年間努めた後、2014年独立。現在は英国・欧州ファッションブランドの広告・カタログのスタイリングやアートディレクションを中心に活動する。

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