連載コラム2021.11.05

連載コラム Vol.33 – サウサンプトンで歴史を学ぶ

佐藤丈春佐藤丈春

8月にサウサンプトンに行ってきました。イギリス国内旅行は、だいぶ簡単になってきましたよ。屋外、ホテルやレストランでもマスク着用の義務がなくなったので、イギリス在住の人たちが夏を国内でホリデーに行くケースが増えました。
サウサンプトンは不思議な街だと思います。例えば14世紀に建てられた城壁が保存されている一方で、その隣にガラス張りの、20世紀に建てられたビルがそびえ立っていたりします。景色はとてもごちゃごちゃしていて、残念ながら都市計画・デザインに一貫性がありません。これは第二次世界大戦で多くの歴史的建造物が破壊されたためで、ロンドンにも同じような傾向はあります。
その、よく保存されている城壁の一つに、泊まってみたいホテルができたので、今回はそこに滞在しました。「The Pig In The Wall」といいます。タビタスのコラムVol.9で「ザ・ピッグ」の別の場所(サウサンプトンにも近い)を紹介しておりますので、興味のある方はそちらもご覧ください。この「ザ・ピッグ」グループはいい仕事をしていると思います。大昔の物件を見つけてホテルに改装し、老若男女を呼び込んで成功しているのです。現在「ザ・ピッグ」はイングランド地方に合計8物件を展開しているので、いずれ全てに行ってみよう、と思っています。

「The Pig In The Wall」の裏庭より。右側に14世紀の城壁がある。
同ホテルでの「イングリッシュ・ブレックファースト」は具材が全て新鮮。

街の中心地を車で15分ほど離れると、一気に大自然が広がるのは、サウサンプトンの魅力。ニュー・フォーレスト国立公園の中にある「Lime Wood Hotel」での夕食はトップクラスでした。大自然に囲まれたカントリー・ハウスで味わったワイン、そしてイタリア料理は思い出に残っています。後から知ったのですが、この「ライムウッド・ホテル」は「ザ・ピッグ」の姉妹店だそうです。

大きな丘の上にひっそりとたたずむ「Lime Wood Hotel」の外観。「ザ・ピッグ」の姉妹ホテルでもある。
ライムウッド・ホテルの中庭。ここを眺めながら夕食を楽しむことができる。
ライムウッド・ホテルでのメインコース。上がトマトのリゾット、下が夏野菜のニョッキ。

限られた滞在時間で、サウサンプトンの歴史を学びたい場合には「Tudor House」日本語で「チューダー・ハウス」がオススメです。14世紀半ばに裕福な商人かつ当時市長のジョン・ワイトゴッドが初代「チューダー・ハウス」のオーナーだそうで、以降サウサンプトンの歴史を受け継いできました。現在は博物館として、当時から近年にいたるまでの貴重な資料を閲覧できます(建物自体もよく保存されています)。サウサンプトンといえばタイタニック号、という人はとても多いと思いますが、それだけではない、深い歴史を味わえますよ。

チューダー・ハウスでの屋上ガーデン。こだわりの植物セレクションを楽しめる。
チューダー・ハウス内での展示物の一つ。手前の男性が酔っ払っていて、奥の女性(おそらく召使いさん達)があきれている。14世紀から現代にいたるまで、変わっていませんねえ。。。

佐藤丈春(さとう・たけはる)
1976年東京生まれ。2005年に渡英、2007年に英国王立芸術院卒業。グローバル情報誌『モノクル』に創刊から関わり、ファッションディレクターとして7年間努めた後、2014年独立。現在は英国・欧州ファッションブランドの広告・カタログのスタイリングやアートディレクションを中心に活動する。

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