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連載コラム2021.10.13

連載コラム Vol.31 – 英国の初夏、ロックダウン後の国内旅行

佐藤丈春佐藤丈春

英国での3回目のロックダウンが終わった後の今年5月に、ロンドン郊外に小旅行をしてきました。海外旅行・出張は引き続き制約があるため、国内旅行を選びました。僕は当時、アストラゼネカ製のワクチン1回目を接種した後で、交通機関はもちろん、店やホテルの屋内に入る際にはマスク着用が義務付けられていた時期です。
滞在したのは「モンキー・アイランド・エステート」。ロンドン・パディントン駅から電車で西におよそ45分程度行った「ブレイ」という地区にあります。観光スポットとして有名なウインザーから車で30分程度のところに位置しており、ロンドンから近いにもかかわらず、緑が豊かで、別世界のように感じました。

こちらがホテル棟。客室は全部で40と多くはないため、スタッフの配慮が行き届いたサービスを受けられる。

テムズ川(ロンドンで見るテムズ川よりも、水がはるかに綺麗!)に浮かぶ小さな島に2棟が存在し、現在は1棟がホテル、もう1棟がレストラン・バーとして運営されていますが、建てられたのは1723年。王室メンバーの釣りをする際のベースとして使用されていたそうです。「グレードI」の建物で、ロンドンのバッキンガム宮殿に匹敵するレベルの保存指定がされています。

こちらがレストラン・バーの棟。テラスがテムズ川のほとりにあり、川や鳥達を眺めながら飲食できる。
レストランの内装。ニューヨークに拠点を置く「シャンプリモード・デザイン」が手がけたそう。
テムズ川に浮かぶボートで体験できるスパ。希望すれば強力で効き目満点のマッサージも受けられる。

なぜ「モンキー・アイランド」なのか? 猿がたくさんいる島なのか? 残念ながら猿はいません。保存されている記録によると、12世紀(日本では鎌倉時代)この小さな島が教会のものとなり、そこの僧侶たち(英語でMonk)がいる小さな島(英語でEyot。エイオットと発音するのが最も近い)ということで、この2つの単語がつながって「モンキー・アイランド」となったとする説が有力だそうです。

滞在した部屋からの景色。24時間静寂で、ごくわずかな人通りと水鳥の行進以外、窓から目にすることはない。
テムズ川を挟んでモンキー・アイランドを眺める。左に見える白い建物がレストラン・バー棟、右がホテル棟。
イタリアンレストラン「カルデシ」は是非行ってください。ホテルから歩いて20分程度のところにある、オーセンティックな料理で地元の人たちに大人気の店。

コロナ禍における海外旅行の制約がなければ、僕はこの地を訪れることがなかったかも? しれません。もし皆さんがイギリスに来られるようになったら、このような郊外でゆっくりしてみると、素敵な思い出となるのではないでしょうか。

佐藤丈春(さとう・たけはる)
1976年東京生まれ。2005年に渡英、2007年に英国王立芸術院卒業。グローバル情報誌『モノクル』に創刊から関わり、ファッションディレクターとして7年間努めた後、2014年独立。現在は英国・欧州ファッションブランドの広告・カタログのスタイリングやアートディレクションを中心に活動する。

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