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連載コラム2020.08.06

連載コラム Vol.29 –ロンドン・ロックダウン緩和のいま

佐藤丈春佐藤丈春

皆様、いかがお過ごしでしょうか。こちらロンドンではロックダウンが始まって、まる4ヶ月が経ち、7月4日から飲食業やヘアサロンの営業が再開され「少しだけ」活気が戻ってきました。これに伴い、車や人通りもロックダウン開始時(前回コラム参照)に比べれば増えています。「少しだけ」とカギ括弧をつける理由は、ソーシャル・ディスタンスを継続しながらの営業であり、一部のパブやレストランは引き続き休業(第二波に対する警戒感から)しているからです。ほとんどのレストランが予約制となっており、店内でも人との距離を確保するために、満員にならないように調整しています。したがって、通常より少ないお客さんの数でも、事前に予約でいっぱいになってしまいます。先日僕が行ったレストランでは、店のキャパシティの70%で満員にしているそうです。予約無しでも入れるのですが、テーブルの数は非常に限られているので、待たされる可能性が出てきます。それで行列になる場合もあり、ソーシャル・ディスタンスが取れなくなることも考えられますね。

フリーマーケットとフード屋台混合スタイルが人気の「Flea London Vinegar Yad」には週末行列ができている。これは中での人数制限をかけているため
ロンドンで最も古いフードマーケットの一つ「Borough Market」の様子。赤と白のブロック敷居で設けたストリート・テラスで食事をする人たち

テラスのみで営業しているカフェ、パブやレストランも少なくありません。パブでは通常の入り口にレジを設け、そこで注文し、飲み物を外やテラスで飲むというスタンスをとっているところが多いです。レストランによっては、営業できなかったロックダウン中に、入り口を利用して日中ワインを売っていたところも多く、そのスタイルを継続していることろもあります(今月から夜にはディナー営業を再開)。

レストラン「40 Maltby Street」の内観。ロックダウン中に手前でワインの持ち帰り販売をして、今月より内部でレストラン営業を再開
レストラン「Hawksmoor」内部にて。テーブル一つおきに距離を取るため、このテーブルは使用していない旨を知らせる札が立っていた
ちなみに「Hawksmoor」でいただいたビーフカルパッチョのスターター
近所のパブの光景。中央の入り口でドリンクを注文し、外で飲む営業スタイル

先日、4ヶ月ぶりにヘアサロンに行ってきましたが、スタッフ全員が顔に防護マスクをして、我々を迎えてくれました。カバンや上着などをクロークに預ける際にも、ビニール袋に入れ、他人の所有物と接触しないように細心の注意を払い、接客後にハサミは毎回消毒することも義務付けられています。サロンではスタッフの皆が、顧客との再会を喜んでいる光景を見ることができました。

ロンドン中心街にあるヘアサロン「Saco Hair」での一コマ。ヘアスタイリストが顔に防護マスクをしながら接客している

今年いっぱい、このロックダウンは続くでしょう。日本に比べたら、ずっと厳しいものです。英国政府は徐々にロックダウンを緩和し、探りを入れています。先日「BBC」ラジオのニュースで、平常通りに全てが戻ってくるのはクリスマス前ではないか、という政府の発表を聞きました。引き続きオフィスは閉鎖していることろがほとんどなので、朝晩の通勤ラッシュは見かけませんし、オフィス街の飲食業も営業を再開できていません。平日の中心街は静けさを保っています。今後はコロナウイルスといかに共存していくか、が我々の課題です。

佐藤丈春(さとう・たけはる)
1976年東京生まれ。2005年に渡英、2007年に英国王立芸術院卒業。グローバル情報誌『モノクル』に創刊から関わり、ファッションディレクターとして7年間努めた後、2014年独立。現在は英国・欧州ファッションブランドの広告・カタログのスタイリングやアートディレクションを中心に活動する。

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