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連載コラム2017.03.22

連載コラム Vol.14 – オックスフォードでグルメと質の高いホテル

佐藤丈春佐藤丈春

先日とある新ブランドのカタログ撮影のため、久しぶりにオックスフォードに1泊で行ってきました。この街は大学(英語圏で最も古く、11世紀から存在)で有名ですし、大ヒット映画『ハリーポッター』の撮影現場としても多くの場所が使用されました。現地で短くも質の高い時間を過ごすことができたのですが、これから紹介するレストラン「ジーズ」、ホテル「オールド・バンク・ホテル」のおかげです。

ジーズは1898年に建てられた温室(青果物や花を栽培する施設)だったそうで、ここは「グレードII」という国によるリストに掲載された、指定保存建築となっており、内装は変えられても、外装はほとんど変えることができません。ちなみに「グレードIはどんな建物?」と思われた方のために例を挙げておきますと、エリザベス女王が住むバッキンガム宮殿やビッグベンでおなじみのウエストミンンスター宮殿などです。

ジーズの内装。水曜日の夜でこの通り満員御礼。19世紀終わりに建てられた温室がレストランに姿を変え、現在に至る
ジーズの内装。水曜日の夜でこの通り満員御礼。19世紀終わりに建てられた温室がレストランに姿を変え、現在に至る

ジーズに入ると様々な植物、そして高さ数メートルはあるオリーブの樹がそれぞれ私たちを迎えてくれます。さすが元温室であることを証明してくれるようです。オリーブの樹が象徴するように、このレストランのメニューは地中海(主にイタリアン)料理で、食材はできるだけ英国で手配しているよう努力しています。僕が訪れたのは水曜日の夜だったのですが、週の真ん中であるにも関わらず満員御礼で、大学教授風の人たちが何組か、テーブルを囲んでいました。オックスフォードは学生街ですが、ここはハイクオリティかつ値段も学生にとっては高いので、学生らしき姿は、親子連れを除いては、ありませんでした。

春の到来を告げる野菜「ルバーブ」と、プロセッコのミックス。僕はルバーブの大ファンである
春の到来を告げる野菜「ルバーブ」と、プロセッコのミックス。僕はルバーブの大ファンである
たこのテリーヌ(冷やして固めたゼリー状のもの)。フェネル、レモンとパプリカも混ざっている
たこのテリーヌ(冷やして固めたゼリー状のもの)。フェネル、レモンとパプリカも混ざっている
野イノシシを使ったフェットチーネ。麺も肉も新鮮である
野イノシシを使ったフェットチーネ。麺も肉も新鮮である
デザートには再びルバーブ(グリルで加熱)とジンジャーアイスクリーム
デザートには再びルバーブ(グリルで加熱)とジンジャーアイスクリーム

食後はオールド・バンク・ホテルに。この建物の歴史は古く、16世紀から18世紀にかけてキリスト教会が所有。18世紀以降は銀行だったそうで、当時の金庫のドアが今でも残されています。ここもジーズと同じくグレードIIに指定された保存建築物。ホテル内には至る所に英国出身の画家達による絵画が飾られており、ユニークな「今」と銀行だった頃の「昔」の面影が調和した、素敵な空間に仕上がっています。寝心地もいいので、ベッドにこだわる方にもオススメしたいホテルです。

オールド・バンク・ホテルの外装。右と左で建築スタイルが異なり、2つを組み合わせている
オールド・バンク・ホテルの外装。右と左で建築スタイルが異なり、2つを組み合わせている
ホテルのレセプションには見事な大理石、そして地元アーティストの絵画が飾られている
ホテルのレセプションには見事な大理石、そして地元アーティストの絵画が飾られている

ジーズ、そしてオールド・バンク・ホテルに共通しているのは建築的価値の他に、食事・サービスの質の高さ。せっかく建物が美しくても、食事が美味しくなかったり、接客が良くなければ台無しです。オックスフォードにいらっしゃる際には、ぜひチェックしてほしい場所です。

佐藤丈春(さとう・たけはる)
1976年東京生まれ。2005年に渡英、2007年に英国王立芸術院卒業。グローバル情報誌『モノクル』に創刊から関わり、ファッションディレクターとして7年間努めた後、2014年独立。現在は英国・欧州ファッションブランドの広告・カタログのスタイリングやアートディレクションを中心に活動する。

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